1995.2.8
        E-mail roji@yuragi.phys.h.kyoto-u.ac.jp

 路次@京都です。
 
 2月3日から7日まで神戸へ帰ってきましたので、様子を報告します。
 
 京都から阪急で西宮へ出て、そこから須磨まで、主に国道2号線沿いに歩き、
 JRで垂水の実家まで帰りました。復路は、姫路へでて、播丹線と福知山線を乗
 り継いで、京都までもどりました。
 
 報道では、西宮市、東灘区、灘区、中央区、長田区が激しくとりあげられてい
 ましたが、私の見た限りでは、間の芦屋市、兵庫区も同程度の被害だと感じま
 した。建物の被害が特に大きいと思ったのは、六甲道周辺と、長田でした。
 4年間通った六甲道、3年間通った長田の変わりはてた姿を見て、何もいうこ
 とができません。
 
 現在、三宮から東西へ代替バスが出ていますが、バス停には長い列ができてい
 ました。私はバスを利用しなかったので、どのくらいの待ち時間になっている
 のかはわかりません。
 
 播丹線の直通快速は、私の乗ったのは、夕方の姫路ー和田山ですが、若干立っ
 ている人もいる程度の混雑でした。その後、和田山ー大阪間は、山陰から来る
 特急エーデル鳥取に乗車しましたが、ラッシュ時の満員電車状態でした。
 
 西宮ー須磨間の途中の道では、ラーメン屋さん、薬局、鞄屋など、需要のある
 店は、テントを張ったり、建物の前に商品を出したりして、価格を下げて営業
 していました。
 
 通行の妨げになる倒壊物など以外は、ほとんどそのまま残っていましたが、大
 きな銀行などは独自に取り壊しにかかっています。
 
 壊れた建物には、応急危険度判定で、立ち入り禁止の赤紙が貼られていますが、
 出入りして荷物を運び出す人影が目立ちました。
 
 途中、神大に1泊して、避難してきている学生に様子を聞きました。
 
 地震に際して、大学側の対応は立派であったと思います。
 
 現在までに、全国の四十数校の理学部のある大学に、学生の非公式聴講と図書
 館の利用の申請が出され、多くの大学から承諾をいただいているそうです。
 また、休講になった残りの授業に関しては、講義ノートとレポート課題が個人
 当てに郵送されています。
 
 LANS Box食堂部では、震災当日、残っていた水で炊出しをして、付近の住民に
 おにぎりを配りながら励ましていました。購買部も、震災当日、商品が床に散
 乱したままの店を開け、食糧や生活必需品を供給していました。
 
 これは悲報になりますが、LANS Boxの書籍部で本の整理をしていた若いおねい
 さんが亡くなったそうです。御冥福をお祈り致します。
 
 また、芦屋でもボランティア活動をしながら2泊し、被災地の様子を聞かせて
 いただきました。
 
 活動しているのは、震災直後に全国から集まってきた寄せ集めの団体が多いよ
 うですが、意思のはっきりした、責任感の強い人ばかりであるだけに、大変ま
 とまりが良く、立派に動いていると思います。
 中心になっているのは、20歳前後の私より若い人が多く、驚きました。
 
 震災から3週間が過ぎ、避難地によっては、被災者自らが立ち上がって動きか
 けています。しかし、いつまでもボランティアの人任せで、自立しようという
 動きのないところもあるそうです。緊急物資はひととおり行き届くようになっ
 た今、そのような被災者たちの自立を如何に助けるかが、今後の課題だという
 ことです。
 
 各地の市役所や区役所が避難者で埋まり、役所が役所として機能していないこ
 とが最も問題でした。
 
 先にも書きましたが、偏った報道と、交通の便から、ボランティアなどの復興
 活動が現在最も遅れているのは兵庫区だそうです。
 震災直後から働いているボランティアの方はそろそろ疲労も極限に達していま
 す。短期間のボランティアはそのようなスタッフの負担を重くしますが、長期
 間活動できて、スタッフを助けられる方が、まだまだ必要です。
 
 以上、私の見てきたこと、感じたことを簡単に書いてきました。
 さらに詳しいことを知りたい方、意見等のある方は、知らせて下さい。
 あまり役にたつ情報ではないと思いますが、必要な方には、この文章の一部ま
 たは全部を署名つきで回して下さって結構です。
 
 また、皆様よりの情報をお待ちしています。
 
 それでは。

          1995.2.8
 
         
         路次  美紀子 (ろじ みきこ)
 
         京都大学大学院 人間環境学研究科
         物性理論グループ M1
         (1994年3月 神戸大学理学部卒業)
 
         E-mail roji@yuragi.phys.h.kyoto-u.ac.jp