神戸大学理学部の地震関連被害情報

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Date: Fri, 27 Jan 95 14:58:13 JST
From: mizumoto@phys01.phys.kobe-u.ac.jp (Yoshihiko Mizumoto)

水本好彦@神戸大学理学部です。
神戸大学理学部の地震関連被害情報をお知らせします。これはformalなものでは
なく私が知り得た範囲のものを1/27/95現在でまとめたものです。

<人的被害について>
  職員では地球科学科助手の朝倉純子さんが1月27日お亡くなりになりました。
その他に数人の軽傷者がいます。
  学生は
    篠塚 真  (物理学科2年)
    梶 達雄  (化学科2年)
    高橋 幹弥(化学科2年)
    歯朶原 孝(地球科学科3年)
    沈 一春  (大学院化学M2)
以上の方々がお亡くなりになりました。謹んで御冥福をお祈り致します。
現在までに報告のあった重傷者は1人ですが、負傷者はまだ沢山いると予想されます。

<建物の被害状況>
  理学部のA、B、C棟とも窓ガラスが一部破損したり、柱、壁の一部にひび割れ 
が出来た程度で、見かけ上の大きな被害はありませんでした。 

<研究室、実験室内の被害状況>
  詳しいことは事務の方でまとめているところです。大型の実験装置や本棚、収
納庫などが倒れたり、机や台、棚から転落して壊れた装置も多くありますが、揺
れが南北方向だったせいか南北方向に移動しただけで済んだものもあります。研
究室の被害で多いのは二段に積み上げた本棚の上段がずれたり転落して、それが
近くにあった机や計算機などに当たって被害を大きくしたようです。コンピュー
タ類は振動だけで壊れたものは少ないようです。もちろん、落下したり、物が当
たって壊れたものはあります。実験室の機器の被害は甚大なところが多く、低温
センターなどは建物は無事でしたが、中の装置は転倒、転落その他で、8割方は
修復不能の状況です。物理学科に関しては実験系の研究室では2〜7割の計算機を
含む装置類が何らかの被害を受けました。多くの研究室が自助努力のみでは被害
を修復し研究教育を継続するのは困難な状況です。 

<大学の現在の状況>
  地震直後に電気、ガス、水道が止まりました。電気は翌日に復旧しましたが、
ガス、水道はまだ止まったままです。河川水を利用しているトイレの水が使える
ので衛生面での心配は一応ありません。ただ、ガス、水道が使えないので暖房や
飲料水が困ります。飲料水は農学部が避難所に指定されておりそこにいけば手に
入ります。大学生協はまだ営業を再開していません。従って食事もできません。
多くの学生が自宅、下宿の倒壊、焼失、半壊などで住むところを失い、また、住
居に被害を受けた教職員もおり、大学が正常に機能するようになるまでまだ相当
の時間がかかると予想されます。特に、大学までの交通機関の被害が甚大です。
4年生や大学院の学生は下宿がなくなったり、大学までの通学に2〜3時間はかか
るので大学に泊り込んで卒業研究、修士論文を仕上げようと頑張っているものも
います。そのような中でバイクの盗難が報告されています。どのような時にも悪
い奴はいるものです。 
  とにかく大学は正常化に向けて努力しているところです。